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「ロータリーの職業観について」
担当:職業奉仕委員会 高山 光平委員長
職業の位置づけを理解していないと、ロータリーでの職業奉仕につながらないと考え、第一回である今回は「ロータリーの職業観について」としました。
さて、ロータリーの職業観について考えるとき、ロータリー設立の経緯から考える必要があります。1905年2月23日、ポール・ハリスはディアポン通りに面したユニティビル711号室で、シカゴでもっとも親しい三人の友人、石炭商のシルベスターシール、鉱山技師のガスターバス・ローアー、洋服屋のハイラム・ショーレーと集まってクラブの創立の相談をしました。シカゴの街で異業種が集まり、親睦と相互扶助の考えがロータリーの基本となりました。お互いの情報交換等を通して、会員同士の割引など、閉じた相互扶助をしていました。他の同業種より、有利に取引していました。
初代会長にシルベスター・シールが選ばれたとき、相互扶助の考えが示されました。1906年、シカゴRC2代目会長のアルバートホワイトの時、会員がロータリーについてPRをしていた中で、弁理士ドナルド・カーターのところに赴き、ロータリーの相互扶助の原則などを話しました。しかし、カーターはロータリーをエゴイズムと批判し、これを受けてポール・ハリスは反省し、職業奉仕の考えが生まれました。
こうして、最初は利益追求のための相互扶助だったのが、2年目にして「職業奉仕」という考え方に転換していきました。
日本的な「職業」と西洋(キリスト教社会)の「職業」は異なる点を踏まえることが、職業奉仕を考える上でポイントとなります。「職業」は一般に事業(Business)と呼ばれる業務と、専門業務(Profession)と呼ばれる医師、教職、弁護士(法曹職)、僧侶(宗教職)に分けられていました。このProfessionは神職と呼ばれ、神から与えられた仕事として、身分の枠を越えて本人の努力でかち取ることができるものでした。これらの業務は手厚く遇されていましたが、業務に対して見返りを請求する必要もなかった。なぜなら、本来ならば専門職務は利潤を追求する目的で業務を行うものではなく、特殊で高度で専門的な業務遂行に対して、感謝の念を込めた心付けが支払われる性質のものなのです。
ロータリーでは、事業と専門職務を一体化してVocationと呼び、全ての職業は有為な「天職」であると考えます。昔は、Professionだけが天職と考えていたが、それをBusinessにも拡げて考えます。
そうしたことで、ロータリーでは高い職業倫理が求められています。過去に色々な論争を経て、全ての職業がVocationと考えるようになりました。時代に応じて職業奉仕の解釈も変わってきました。
事業などの商取引において、利潤を得ることは当然のことであり、問題は何を持って適正な利潤と考えるかにあります。取引の原型は物々交換をもって始まり、物とお金との等価交換の段階で利潤の概念が生まれてきました。事業は、その利潤を適性に保つことによって得た信用を基本にして、永続性のある取引を続けることが大切とされています。濡れ手に粟の一攫千金を夢見るあまり、品物の価値を無視した法外な利潤を要求したり、原価を下げるために下請けや従業員を不幸にしたり、バブル経済に見あれるような実体を伴わない利潤の追求に走ったりすることは、不公正な事だと考えなければなりません。ロータリーでは過去の論争を得て、こうした考え方になってきました。
理念として大切な言葉に「He profits most who serves best」があります。このprofitsの解釈を巡って金銭的な利益か、精神的な利益かの論議が今なお盛んです。ロータリー運動を生みそれを発展させた背景に,資本主義経済の悪い側面がもたらした極端な唯物主義や拝金思想に対する反省、即ち、目先の利益第一主義から脱却し、利益の適正配分を心がければ、必ず事業の継続的な発展があることを説いていることを考えれば、そのいずれかは容易に想像がつきます。
「He profits most who serves best」の日本語訳にした有名なものに「最もよく奉仕するもの、最も多く報いられる」です。profits]が金銭・物品か精神なのかについての論争は大きな問題です。またservesも奉仕と訳しますが、これもロータリーの歴史的な背景を考えないと誤ることになります。servesはラテン語の語源から考えると、「宗教的なものを含めて、精神的支援の意味が強くあります。
余談ですが、ロータリーができてから世界恐慌を迎えお互い助け合ってきたという歴史があります。物的なものでなく、精神的な助け合いがあったそうです。
論争としては、マンツーマンの相互扶助でよいのかということもあります。従業員、取引先、地域と広げてきた歴史もあります。職業観はそれぞれもっていますが、ロータリーの職業観はロータリー成立以来、様々な論争を経て発展してきた歴史があります。
先頃行われた職業奉仕委員長会議で講演やディスカッションがありました。フォードの経営が苦しくなった時、原価割れするような値段で車を売りました。結果として、販売数は増えましたが、利益は上がりませんでした。そのとき、経営者はフォードの株主から訴えられました。資本主義社会が成熟する中で、顧客のために考えたことが訴えられることになってしまった。こうしたことを受けて、今後ロータリー的職業奉仕ができるかどうかということについて議論しました。
ある製薬会社が、販売している鎮痛剤に毒物を混入されたことで、全米に告知して全商品を回収しました。そのとき、役員の反対も大きかったようです。利益は落ち込んだが、2年後には大きな利益を得ました。全商品を回収する事が信頼を得ることになりました。利潤を追求するだけでは、株主も利益が得られない。複層的な社会の中で難しくなっています。
社会が変化する中で職業観も変わってきています。あるクラブでは、個人の中で考えるべき職業倫理は異ならないだろうということです。
ロータリーの職業観の変遷について、今日は報告させていただきました。
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